「シアトル宇和島屋研究」「福岡正信と自然農法研究」「越境する海のNomad研究」という3つの事例研究を通して、人・モノ・カネのグローカルな移動や「脱埋め込み⇒再埋め込み」のダイナミクスを探ります。

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研究代表者からのご挨拶

愛媛大学法文学部教授 土屋由香

グローカル地域研究(GLOCAS)リサーチ・ユニットのウェブサイトにようこそ! 私たちの研究グループは、愛媛大学で唯一の文系リサーチ・ユニットとして、2016年4月に発足しました。地域研究・政治学・経済学・観光学・農学など、学際的な研究者を結びつける共通の問題関心は、愛媛というローカルな「場」で培われた価値・技術・制度などが、世界各地に広がり根付いていく過程を学術的に分析することです。愛媛大学独自の「グローバル・スタディーズ」、そして「グローカル地域研究」を構築することを目指すとともに、研究と教育の効果的な連動を図ります。 ユニット構成員は、「シアトル宇和島屋研究」「福岡正信と自然農法研究」「越境する海のNomad研究」という3つの事例研究をそれぞれ走らせながら、定期的な研究会を通して3つの事例を横断的に俯瞰し、そこから見えてくる人・モノ・カネのグローカルな移動と、「脱埋め込み⇒再埋め込み」のダイナミクスを探ります。逆風の中の地方国立大学だからこそ、地域発のワクワクする研究を発信して行きたいと思います。

以下に3つのプロジェクトの概要を説明します。
20世紀初頭にアメリカに渡った愛媛県八幡浜出身の一家が起こした食料品店・宇和島屋(本社・ワシントン州シアトル)が、「アメリカで最も成功した日系スーパーマーケット」と言われるまでに発展した要因と、そのプロセスにおいて日系移民の出身地におけるローカルな知や経験が移民先社会にもたらした影響を、聞き取り調査や刊行物等の分析から究明する。宇和島屋の実践・経験は、地方発の日系企業aが海外で事業展開する際の参考となるものと考える。
福岡正信(1913-2008)が提唱した「不耕起、無肥料、無農薬、無除草」の自然農法が、愛媛からアメリカやインドなど世界のさまざまな地域へと、いかにして広がっていったか、その「グローカル化」のプロセスを明らかにする。自然農法を、もともとはローカルな文脈に埋め込まれていた知・価値・技術・制度として捉え、それが、ローカルな文脈から脱埋め込みされ別地域のローカルな文脈のなかに再埋め込みされていったものと捉えて、その具体的プロセスを解明する。
遠洋漁業最盛期の1950~60年代、四国の太平洋岸のマグロ遠洋漁業者を通して人と技術のグローバルなネットワークがどのように築かれたのかを明らかにする。愛媛・高知・神奈川などで元マグロ魚船員や関係者への聞き取り調査を行い、遠洋漁業のグローバルな産業構造を解明するともに、愛媛・高知出身の漁業者が、台湾・韓国・アルゼンチン・キューバにまで及ぶ人の交流と技術の伝播に関与した経緯も解き明かす。本研究はまた、冷戦による東西対立と水爆実験とが、こうした活動にどのような影を投じていたかを、日米の公文書を用いて実証的に解明することで、技術の伝播と国際政治との関係を浮き彫りにする。
執筆中です。しばらくお待ち下さい。