愛媛大学 超高圧材料科学研究ユニット Advanced Research Unit for Materials Science under Ultra-High Pressure

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Research

高強度マグネシウム合金の開発

 排出ガスの削減や省エネルギー化のため、自動車や電車、飛行機などの軽量化が求められています。マグネシウムは構造材料として実用可能な金属中、最も軽い元素です。そこで、アルミニウムや鉄をベースとする構造材料を、マグネシウム合金で置き換えることを最終目標に物質開発をしております。

 一般に高い圧力下で材料を作製すると結晶粒は小さくなります。結晶粒が小さいほど材料の降伏強度は上昇することはホールペッチ則としてよく知られています。本研究では“柔らかい相”と“硬い相”の二つの相が形成されるマグネシウム合金を高圧下で作製しました。二つの相はナノサイズの柱状の結晶粒となり、交互に組み合わさって放射状に発達しています(図1)。この合金の圧縮強度はこれまでに報告されたマグネシウム合金よりもはるかに高いことが明らかになり(図2)、同種物質の探索と、高強度のメカニズムについての研究を進めております。

図1. 二相ナノコラム組織を有するマグネシウム合金の電子顕微鏡像。表面はコロイダルシリカによってエッチングされている。
図2. 二相ナノコラム組織を有するマグネシム合金の圧縮曲線。

Reference: M. Matsushita, et al., Journal of alloys and compounds, Volume 784, 5 May 2019, Pages 1284-1289.

謝辞:本研究は公益財団法人JKAの補助事業の一環として実施されました。

新奇化合物の高圧合成

 高圧を利用し、新奇な結晶構造や、珍しい組織を有する化合物や合金の合成に取り組んでいます。GPaを大きく超える高圧下では、その大きなひずみ場と原子間距離の縮小に伴う電子状態の変化により、常圧では作ることにできない物質の合成が可能です。私たちは常圧では合成できない新奇な物質や新奇な組織を持つ物質を探索し、新しい機能性を見出すことを目的とした研究を行っています。
 下の図1は我々が主として利用しているマルチアンビルタイプ高圧発生装置を利用した圧力発生の手順です。マルチアンビルタイプ高圧発生装置の利点は20GPa超の圧力領域でのmmサイズのサンプルの合成ができるため、ダイヤモンドアンビルセルにくらべると多様な構造、電子、機械物性の評価が可能です。図2は我々が最近発見した新しい層状長周期規則相です。

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半導体ダイヤモンド

 高温・高圧ダイヤモンドのキャリア制御による半導体化を目指しています。新規な導入元素や合成条件を見出すことで、不純物元素のドーピング濃度、活性化率を制御し、ダイヤモンドの伝導特性の制御を行います。これにより、SiCやGaNを凌駕するパワー半導体材料としての潜在能力を有する「半導体ダイヤモンド」を実現し、ひいては次世代の高性能・趙耐環境パワー半導体実現の展望を拓くことで、低消費エネルギー、安心・安全社会を導きます。

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分子性固体の電子状態の研究

Ⅰ.「分子性超伝導体の一軸性圧縮効果」

 分子性超伝導体であるβ”−(BEDT-TTF)4[Ga(C2O4)3](H2O)(C6H5NO2)結晶に一軸性圧縮を行った。二次元面のいずれの圧縮でも、低温で絶縁体的挙動が促進されたときに超伝導も促進された。この結果は、電荷整列が超伝導に直接関与している証拠である。

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Ⅱ. 「分子結晶の軌道順位逆転効果の研究」

 分子性固体のX[M(dmit)2]2結晶(M = Pd・Pt、X = 一価の陽イオン)は、[M(dmit)2]分子の強い二量化による軌道準位逆転を示す。広範な条件で観測される量子スピン液体、電子間反発に反する電荷整列、その電荷整列に近い超伝導など、エキゾチックな電子状態が存在する。分光学的実験を行ったところ、これらの多様な電子状態は、準位逆転に特徴的な分子軌道の下、電子-電子相互作用の距離依存性により説明できることを見出した。

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Ⅲ. 「新規の応力下物性測定法」

 高圧技術の対象外であった脆弱な結晶性物質にも対応できる、これまでにない応力印加法の下で電気抵抗等を測定する手法を開発している。樹脂性冶具を利用した異方的延伸法、低圧に対応した一軸圧縮法、NPDダイヤを使った静水圧下抵抗測定法を開発している。

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「第25回源内賞」受賞 Pyramid diamond

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石川史太郎准教授が第25回「源内賞」を受賞しました。

この賞は、平賀源内の偉業をたたえて設立された公益財団法人エレキテル尾崎財団が、発明工夫の思想の啓発普及に努めるため、電気・通信技術の研究分野で先導的・開拓的な業績を挙げた研究者に送られるものです。

本研究では、原子レベルで構造制御可能な優れた微細結晶合成技術により、未踏の可赤外域、可視域のナノスケール材料の開拓を行いました。この成果から通信、センサー、太陽光エネルギー変換、ディスプレイなど多岐に渡る技術革新が期待されることに加え、それらが論文発表や書籍出版などで学術的に高い評価を得ていることが評価され今回の受賞に至りました。

第10回JSAPフォト&イラストコンテスト優秀賞

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ダイヤモンドの押圧合成中に偶然できた表面の写真です。
ピラミッドダイヤで応用物理学会のフォト&イラストコンテストで優秀賞を受賞しました。
詳しくはfacebookをご覧ください。

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